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専門家コラム


初回投稿日 : 2021/03/05

【モビルス×TMJ対談】2021年に向けたコミュニケーションデザインの在り方とは?<後編>

「2021年に向けたコミュニケーションデザインの在り方とは?」をテーマにした、BPOに関するアウトソーシング、コンタクトセンター運営などを行う、セコムグループの株式会社TMJ 営業統括本部 マーケティング推進本部 本部長 島田將英氏と、顧客サポート業務のソリューションの開発・提供を行うモビルス株式会社 代表取締役社長 石井智宏の意見交換会の模様をお届けする後編です。
前編では、顧客サポートを取り組む環境の変化、ノンボイス・デジタル化の活用状況を中心にお話いただきました。後編は、ノンボイス活用の成功事例や、課題と解決策、今後の動向などを中心とした内容となっています。

前編はこちら>>
【モビルス×TMJ対談】2021年に向けたコミュニケーションデザインの在り方とは?<前編>


【パネリスト】
モビルス株式会社 代表取締役社長 石井智宏 氏
株式会社TMJ 営業統括本部 マーケティング推進本部 本部長 島田將英

【モデレータ】
株式会社TMJ 営業統括本部 マーケティング推進本部 プロジェクトマネージャー 川野克俊

コールリーズンごとにステップを踏んだ検討が、ノンボイス活用成功の鍵

川野:ノンボイスチャネルを活用されている成功事例を教えてください。

モビルス株式会社 代表取締役社長 石井智宏 氏

石井氏:
チャットボットや有人チャットといったノンボイスチャネルの導入で、全体呼量の2割をノンボイスへ誘導できると成功と言われてきました。全体の対応数(呼量)も増加するため、感覚としては「電話は若干減った。そこそこ効果は出ているかな」という程度です。

最も効果が出ているクライアントでは、メール含めノンボイス比率が全体呼量の5割を超えています。導入から4年かけて到達した結果です。業種はメーカーで製品に関する問い合わせ対応として、チャットボットと有人チャットを導入しています。

ノンボイス活用の成功ケース

チャットボットはまだAIは入っておらず、シナリオ型のみです。有人チャットからスタートし、有人チャット対応の中で、自動化できる問い合わせはないか?コールリーズンごとに分析した上で、チャットボットを導入しました。

オペレーターへ着信前にFAQボットを導入したことで、25%が自己解決できています。また、事前にチャットボットでプリヒアリングしているので、オペレーターに入ってきた時点で、問い合わせ内容が分かる状態なので、スムーズな対応が可能です。

オペレーターが対応する中で、定型的な手続きなどが発生した場合は、チャットボットに戻して自動対応へ。有人チャットとボットを切り替えて使うことで、ハンドリングタイムの40%を自動化できています。

こうした取り組みで、センターのコスト効率化の数値は、少なくとも数十パーセントは出ていると予測しています。

AI導入や音声ボットで電話対応の自動化など、まだまだやれることがあるので、さらに効率化・コスト削減ができていくと思います。

ノンボイス化で成果を出すためには、ツールを導入するという考えではなく、ユーザーの導線やコールリーズン分析など、カスタマージャーニーを調べることから始めます。コールリーズンごとに、この内容は電話が良い、ここは有人チャットで対応できそうだ、有人チャットの中で、ボットで自動化できるものはあるか、システム連携でROIは出るか?など、ステップを踏んで検討していくことが重要です。

ノンボイス活用の成功ケース
株式会社TMJ 島田將英

島田:
コールリーズンを分解する過程は、効果測定の面で非常に重要ですよね。例えば、クレジットカード会社の事例で、「会員情報の照会」「お届け内容」「口座」などの変更手続きは会員サイトと電話で受け付けていました。

この手続きを、FAQとチャットボットと有人チャットの新たな運用を構築し移行しました。自己解決と電話対応での解決のカテゴリーを完全に一致させ、検証をした結果、百数十席に対して、15席程度で対応する件数が自己解決に移行し、同時に内部コストの削減ができています。

また、ベネッセ様の事例があります。非会員向けにLINEを活用し、チャットボット、有人チャットを組み合わせて対応しています。教材がお子様の進度とマッチするかなどの問い合わせの回答は難しく、最初はチャットボットで30%の解決率でしたが、3年経ち70%の解決率まで上がっています。対応範囲の拡大や会員様向けへの導入を検討しています。

導入時のオペレーション設計からサポートする

川野:
成功している企業では、時間をかけて泥臭くPDCAを回しているのですね。そういった積み重ねが最終的にはノンボイスの比率アップ、解決率向上に繋がるのだと感じました。
石井社長にお話いただいた事例は、チャットボットをすぐ入れたのではなく、オペレーターチャットから始めた成功事例ですね。センター運営を担うTMJに対する期待はいかがでしょうか?

石井氏:
オペレーターチャットを展開する上で、電話とチャットではオペレーターの必要な特性もフローも全て変わります。まだ、オペレーターチャット対応を得意とされているBPOは少ないので、その辺りのノウハウをTMJさんには是非先陣を切って進めていただきたいです。
オペレーターチャットを導入しても、同時対応数が上がらないと電話より効率が悪くなってしまいます。AHT(平均対応時間)を下げるには、対応する際のオペレーターのFAQや、チャット対応に適したコールリーズンのみに対応する導入時の設計が重要です。オペレーターチャットは任せなさい!というBPOになってもらえると有難いです。

島田:
生産性の測り方を標準化しノウハウ化していく必要があると、改めて感じました。クライアントへの提案時に導入設計からシュミレーションし、実際のオペレーションのフローの構築までできるようになるとノンボイス導入比率が進むのではと思います。

会社の将来像から経営課題として考える

川野:
成功事例を聞き、ヒントの裏に課題もあると感じました。ボットとオペレーターチャットとの行き来で効率化できるという話がありましたが、クライアント企業内で、自動化とセンター運営の担当組織が違うなど、連携させたくても上手いかないこともあるのではないでしょうか。その難しさやそれを打破するためにできることはどんなことでしょうか。

石井氏:
Webサイトの管轄部門とセンター運営の部門が異なることはよくある話です。ボットはWeb部門、オペレーターチャットはセンターでとなっており、連携が難しいケースがあります。例えば導線の設計一つとっても、ノンボイスを導入したいが、Webサイトの構成が電話番号を全面に出していたり、チャットがポップアップの小窓のみで目立たないなどです。

Webサイトのサポートページに埋め込み型でチャットを設置するのが、導線設計としては一番効果的ですが、担当組織が異なるため進まないことが多くあります。

チャットボットだけ導入しよう、センターだけで考えよう、などでは組織内の垣根を越えられません。会社の将来像として、どのくらいノンボイス化したいのか?コスト削減したいのか?など経営課題として考えて動くことが必要です。

川野:
将来像を共有する、伴奏することの必要性は、TMJも感じていることではないでしょうか?

島田:
同じ課題を感じていますね。クライアント企業のカスタマーサポート部門や、営業部門、IT部門など、業務が横断する中で調整し、方向性を出していく中立的な役割の人物を配置することが重要と感じています。具体的には、TMJではサービスの差別化の一つとして、「CXマネジメント」があります。コンサルタントではなくCXリーダーとして、クライアントの各部門の要求を受け止めて整理し、目標を最適化する。さらにシステムベンダーとの調整も行う。この役割を配置すると、進みやすくなります。クライアントの部門間でのせめぎあいは、客観的な事実をもとに価値認識を合わせていくと、上手くいくのではないかと考えています。

石井氏:
なるほど。そこまで入り込めるのは良いですね。弊社では、カスタマーサクセスチームを発足し、ツールを使いこなしてもらえるよう、導入後1~2か月並走させてもらっています。メンバーは、コンタクトセンターのSVなど現場経験がある人たちなので、現場でどこに困るかなど地に足がついた並走ができると思っています。

発足してまだ一年ですが、10名弱のメンバーです。チャットボットのシナリオ設計、AIの教師データの作成、メンテンナンスの並走を行うデータチームが半分。導入時のオンボーディングやトレーニング、導入後のサポートを行うフィールドチームが半分。さらにカスタマーサポートも別途2名体制で対応しています。
FAQの作成やSVの採用サポートの依頼もあるので、そこは外部パートナーとタッグを組んでやっています。クライアントが困るパターンはある程度定型化できると思うので、メニューを整備して、導入検討時から導入後まで一貫してサポートできる体制を作っていきたいです。

川野:
ノンボイスの定着の上でカスタマーサクセス部門の役割が非常に重要ですね。センター運営をしているTMJ側とコラボできる領域ではないでしょうか?

島田:
特に、施策活動の導入時にあると非常に良いですね。
もう一つ考えられる課題として、導入後最初の半年から一年のKPIの初期設定、データ分析ノウハウが現場にない、付加的な業務なので手が回らない、といったことなどがあります。

仮説で立てた指標が妥当かどうか、PDCAの回し方、報告の仕方などの支援もあると、運用部門にとっては非常にありがたいです。この辺りのやり方をカスタマーサクセスチームに教えてもらえると良いなと思います。

個人情報の取り扱い可能なノンボイス対応、オペレーション設計から一連の提供、在宅オペレーション導入も支援していく

川野:
最後にお互いへ期待することや今後の方向性などコメントをお願いします。

石井氏:
ノンボイスへの期待値は高まっています。以前は、チャットボットを導入し答えられない場合に有人チャットへエスカレーションという、使い方も席数も限定的でしたが、今後は1000席規模のチャットオペレーションを構築するセンターも出てくると思います。

規模が大きくなると、どのようにグループ分けして落とし込むかといった機能も必要です。電話の場合は、グループ分け機能が細かくありますが、チャットはまだありません。この辺りを担うのが我々の仕事です。オペレーション部分をぜひTMJさんには担っていただきたいです。

また、在宅オペレーションの導入はコロナ禍で加速すると思いましたが、期待していたより進んでいません。時間がかかると思いますが、人材確保の面でも避けて通れない、中長期的に取り組むべきテーマだと思います。在宅オペレーションを導入する際に、ノンボイスの方がハードルは低いです。まだ真剣に投資してやろうとしている企業はないので、この辺りを担っていただけると助かります。

島田:
クライアントの内部コスト削減でも収益増加の面でも、価値認識を上げることが必要です。エンドユーザー起点では、「手間がかからない」、「パーソナライズされている」という点に驚きが生まれると思うので、価値認識を上げていきたいと考えています。

大規模のチャットオペレーション運営はまだ国内では例が少ないと思います。デジタルオペレーションの標準化と設計、データの測定と検証というプロセスを一定レベルでパッケージ化できればよいと思っています。
在宅オペレーションの導入は、アウトバンド対応はほぼ在宅化できていますが、インバウンド対応はなかなか進まないのが現状です。

石井氏:
ボトルネックは個人情報の取り扱いだと思います。我々の考えとしては、本人確認プロセスを、相当セキュリティの高い形で自動化することです。

例えばオペレーターは、本人確認は取れているが個人の特定はできない、というように個人情報をマスキングした状態で、契約状況が確認できることで、手続き対応が進められるという想定です。このような区分ができると、個人情報を扱ったノンボイス対応、在宅オペレーションの導入も浸透するのではないかと予測しています。システム屋として頑張ってやりますが、いかがでしょうか?

島田:
良いですね。その技術を上手く活かすためにも、やはりコールリーズンの区分で、シナリオを作って提供することが必要だと感じました。そうすることでノンボイスチャネルの活用が一層進むと思います。

石井氏:
そうですね。CRMとも連携してパッケージ化することも必要かもしれないですね。

島田:
オペレーションとシステムの開発に絡むところで同じフィールドを持ちながら、トライアルができる機会を作れると良いですね。音声認識やノンボイスチャネルの実運用での実績も増えてきたという話もありましたので、ぜひオペレーションに活かせるようしていきたいです。

執筆者紹介

業務改善ノート編集部

ビジネスのデザイン力で、事業の一翼を担うBPOパートナーのTMJ。将来にわたる経営環境に最適なビジネスプロセスを設計し、事業を代替することで、クライアント企業の継続的な事業成長を総合的にサポートしています。

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