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BPOの基礎知識


BCP
初回投稿日 : 2020/08/06

BCP(事業継続計画)とは?緊急事態に備えて企業ができること

BCP

世界的に大流行している新型コロナウィルス感染症の感染拡大、熊本を中心に発生した「令和2年7月豪雨」、「地震大国」と呼ばれるほど地震リスクの高さなど日本は様々な災害リスクを抱えています。災害によって被害を受けてしまうと、経営に大きな悪影響を及ぼされる可能性があります。そうした状況に備えるために大切なのが「BCP」です。今回は、BCPの概要から導入のメリットまで詳しくご紹介します。

BCPとは?

どれだけ経営が順調に進んでいても、災害や感染症といった外的リスクはいつ表面化するかわかりません。そうしたリスクに備えるのがBCPです。

概要

BCPは「Business Continuity Planning」の略称で、「事業継続計画」のことを指します。あらかじめ予測できない緊急事態を想定し、状況に応じた行動を考えておくことで、事業を継続できるように作成する計画です。

企業経営にリスクはつきものです。消費者のニーズの変化や金融危機などにより経営が悪化する可能性は常にあります。そうした状況は、日常的に情報収集を行うことである程度は企業努力によって把握することができます。

たとえば、消費者のニーズを知るために「定期的にアンケートを実施する」、最新の貸し出し状況を把握するために「金融機関と綿密にコミュニケーションを取る」といった方法が挙げられます。企業はあらかじめリスクが表面化する事態を把握し、それに備えることができます。

それに対してBCPが想定しているのは、「あらかじめ予測できない緊急事態が起きた場合」です。BCPの策定を推奨している中小企業庁によると、「自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合」と考えられています。そのような不慮の災害などで被害を被った場合、指揮連絡系統が定められていないと現場はパニックを起こし、事業再開が遅くなってしまうことが想定されます。BCPの目的は、予想していないリスクが表面化した場合でも企業が被る被害を最小限に抑え、事業を継続していける可能性を高めることにあります。

緊急事態への対応

BCPが想定しているのは、基本的に「緊急事態への対応」です。その代表的な事例として地震や台風などの「自然災害」、テロ行為などによる「人的災害」、ウイルスなどによる「感染症」などが挙げられます。これらの被害は、「いつどこで起きるか」は誰にもわかりません。しかし、発生した場合は会社や生産工場が損害を受けるだけでなく、従業員の健康や生命を脅かす可能性のあるリスクです。

BCPの考え方として大切なポイントは、「あらゆるシーンを想定して最悪な状況を考えておくこと」です。特に資金面で経営体力の乏しい中小企業は、一時的な営業停止でも廃業に追い込まれるケースも珍しくありません。もしも緊急事態への対応がおろそかになってしまうと、いくら経営が順調だった企業でも短期的な運用資金が枯渇し、黒字倒産してしまうリスクもあるのです。企業経営に関わる方は、経営状況の良し悪しにかかわらずBCPについての意識を高めておくことは必須だといえます。

BCPが浸透した背景

BCPは日本では2011年以降急速に普及してきた考え方です。2011年に起きた東日本大震災では東北地方を中心として想像を絶するほどの物的、人的被害を受けました。その被害はおよそ10年が経過した2020年になっても、完全復旧には至っていません。しかし、日本で自然災害のリスクがあるのは、東北地方だけではありません。最近、盛んに注意喚起が行われるようになった東海地震および南海トラフ地震が代表的です。

また、地球温暖化の影響によって台風の大型化が進み、2019年に千葉県を中心に発生した「令和元年房総半島台風(台風15号)」のように、復旧までに多くの時間を費やす被害も散見されています。そのほかにも、2020年にはすでに熊本県を中心に発生した「令和2年7月豪雨」といった豪雨災害も頻発しているのが現状です。
日本では幸いなことに大きなテロ災害というのは地下鉄サリン事件以来起きていませんが、2020年には新型コロナウィルス感染症の感染拡大におけるリスクというのが表面化してきました。感染症リスクが高まったのは、ヒトやモノが気軽に移動できるようになった経済のグローバル化も一因になっています。ひと昔前に比べて全国各地におけるリスクは高まっており、そうした状況においてリスク回避を図る姿勢が各企業には求められているのです。

BCPの現状

地震や台風被害といったリスクの増大により、BCPという考え方は普及してきましたが、実際にどの程度の企業が策定しているのでしょうか。ここでは、BCPの現状についてご紹介します。

BCP対応企業の割合

株式会社帝国データバンクが2020年6月に発表した事業継続計画(BCP)に対する企業の見解についての調査結果によると、「策定している」と回答した企業は16.6%、「現在、策定中」(9.7%)、「策定を検討している」(26.6%)とそれぞれ増加傾向にあり、全体の半数以上の企業がBCPを前向きに検討していることがわかりました。

また、策定意向がある企業の中で、想定するリスクとしては「自然災害」が70.9%と最も高く、次いで「感染症」が69.2%となり、新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響もあり、前年より44.3ポイント増と急増しました。

対応企業の割合が大きく伸びていない要因には、「ノウハウやスキルの不足」や「策定する余裕がない」といった事情があると考えられています。BCPの策定にあたっては、従業員との緊急連絡や被害把握方法など、さまざまな体制を整えなければいけません。BCPについての知識がない企業では策定のためのハードルが高くなっているケースがあります。

また、BCPは本来的には資金面で余力のない中小企業ほど策定しておくべきです。しかし、実際にはそうした中小企業ほど人手不足で悩んでおり、BCPの策定まで手が回らないケースもよくあります。

BCP対応の企業間における温度差

BCPは全体の半数以上の企業が検討していることがわかりました。一方で、企業規模や業種、地域性によって温度差があることがわかります。株式会社NTTデータ経営研究所が実施した「東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査(第5回)」によると、従業員が5,000人以上の大企業では、およそ9割がBCPを前向きに検討しているのに対して、従業員が99人以下の比較的小規模な企業では、およそ4割にとどまっています。

また、業種別で見てみると金融業や保険業が68.7%、公共機関が62.7%とBCP策定率が最も高かったです。これらの業種は、大災害時にも仕事上の対応が求められるため、意識が高いことがうかがえます。また、製造業でも東日本大震災後に急速にBCP策定への意識が高まっていましたが、その後「策定済み」の割合は大きく変わらず、一時的な取り組みとなってしまっていることが垣間見られます。その原因として、自社だけの対応では限界があるため、具体的な行動計画の策定が難しいといった背景が考えられています。

地域別でみると、西日本ではBCPへの取り組みが進んでいる傾向にあります。熊本地震や西日本豪雨など西日本で自然災害が多発していることや、南海トラフ地震のリスクが高まっていることがBCPへの取り組みを後押ししていることが推測されます。

BCPの目的

BCPは災害や感染症など、不慮のトラブルに遭ったときでも企業経営における損失を最小限に抑えることを目的としています。人間は誰もがこれまで経験したことのない状況に追い込まれると、どうしていいかわからなくなってしまうものです。対応策を考えるためには情報収集が重要ですが、災害時には停電が予想され、ネット回線がパンクする可能性も高いです。「どうやって情報収集するか」を決めておかないと、対応策を協議することも難しくなります。そうした状況においては、たとえアナログであっても情報を共有する方法を決めておけば連絡を取れる可能性は高くなります。BCPを策定しておくことで状況を早期に把握し、的確な判断をスピーディーに行えるようになるのです。

BCPと似た意味を持つ言葉に「防災基本計画」がありますが、こちらは「災害を防ぐ」ことを目的にしています。つまり、厳密には災害が起こった後の事業の復旧方法については計画に含まれません。もちろん、被害を最小限に食い止める防災計画は大切ですが、どのようにして事業を再開していくかという長期的な観点から考えるBCPも重要です。

BCPのメリット

ここでは、BCPのメリットについて具体的にご紹介します。

企業評価の向上

BCPを策定することで、大きなトラブルが発生した場合でも事業を継続できる可能性は高まります。緊急事態に備えている企業と備えていない企業で比較した場合、緊急事態に備えている企業の方が信頼性の高い企業として評価が高くなります。

緊急事態が発生した場合、被害を受けるのは自社だけではありません。取引先や消費者も被害を受けている可能性が高いです。自社のみがBCPを策定してなかったことで事業再開が遅れると、取引先や消費者にも迷惑をかける恐れがあります。BCPを策定しておくことで企業としての信頼性が高まり、企業評価の向上につながります。

外的リスクへの対応

BCPを策定することで、緊急時のマニュアルがすでにある状態で外的リスクに対応できます。そして、マニュアルに沿って優先順位をつけて事業を再開することができます。経営再開に向けて無駄な動きがなくなるので、資金面で不安のある中小企業でも立ち直れる可能性が高まります。

また、BCP策定の過程では「どのような体制で事業を行っているか」をあらためて振り返る必要があります。それによって、自社の体制の抱える強みと弱みの両方が把握できるでしょう。つまり、BCPを策定することによって業務の可視化が進み、業務効率の改善に役立つメリットもあります。

BCPの導入で、企業経営のリスクを最小限に

BCPを導入することで、想定外の事態に直面しても事業を継続できる可能性は高まります。すでに企業の半数はBCPの導入を前向きに検討しています。新たな緊急事態がいつ発生するかわからない今だからこそ、BCPの導入をご検討いただくのはいかがでしょうか?

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執筆者紹介

業務改善ノート編集部

ビジネスのデザイン力で、事業の一翼を担うBPOパートナーのTMJ。将来にわたる経営環境に最適なビジネスプロセスを設計し、事業を代替することで、クライアント企業の継続的な事業成長を総合的にサポートしています。

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