BPOの基礎知識
BCP(事業継続計画)とは?策定方法やメリット・課題
災害や感染症などの緊急事態に備え、事業への影響を最小限に抑える上で注目されているのが「BCP(事業継続計画)」です。今回はBCPに着目し、その目的や策定方法、メリットや課題をはじめ、BCP対策に活用できるBPOもご紹介します。
BCPとは、自然災害・感染症・サイバー攻撃などの緊急事態が発生した場合でも、事業を継続できるように緊急事態時発生時の対策を策定した「事業継続計画」を指します。BCPは、事業継続計画を意味する「Business Continuity Planning」の頭文字となります。
BCPの目的は、緊急事態が発生した場合でも企業が被る被害を最小限に抑え、事業を継続できる可能性を高めることです。
災害時の対策が練られていないと、災害発生時に現場はパニックを起こし、事業再開が遅くなってしまうことが想定されます。
また、一時的な事業の停止から廃業に追い込まれるケースも珍しくありません。経営状況の良し悪しにかかわらず、BCPの策定は必要だといえます。
帝国データバンクの「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2021 年)」の調査結果から実際に企業がどんな取り組みを通して緊急事態に備えているのか一例をご紹介します。
最も多かったBCP実施・検討内容は、「従業員の安否確認手段の整備(68.5%)」でした。 その他にも「調達先・仕入先の分散(35.1%)」「生産・物流拠点の分散(20.5%)」など拠点を分散させることでリスクを分散させることや「情報システムのバックアップ(55.4%)」「代替生産先・仕入先・業務委託先・販売場所の確保(19.2%)」など業務の代替手段やバックアップ体制を確保する取り組みが上位を占めました。
BCPはなぜ必要なのか、策定するメリットをご紹介します。
BCPを策定し、指揮・命令系統を明確にすることで緊急事態発生時にも状況を早期に把握し、的確な判断をスピーディーに行うことができます。
本調査結果でも、「事業の優先順位が明確になった(33.4%)」「実際の事業トラブルに遭遇し適切に対応できた(11.0%)」などの回答が上位に入っています。
事業再開に向けて優先順位を事前に策定し、計画に沿って進めることで、事業の早期再開を実現できます。
BCP策定の過程で業務の見直しを行うことで、業務改善や効率化に貢献するメリットがあります。
「業務の定型化・マニュアル化が進んだ(33.0%)」「業務の改善・効率化につながった(24.4%)」「在庫の適正化につながった(5.2%)」「調達コストの削減につながった(5.2%)」などの回答結果からも業務改善や効率化への貢献が垣間見られます。
そして、現状業務を見直すことが「従業員のリスクに対する意識が向上した(55.5%)」という結果につながり、企業のリスクマネジメントへの貢献も期待できます。
BCPの策定は、企業評価の向上にもつながります。
本調査でも、「取引先からの信頼が高まった(23.2%)」の回答がBCP策定の効果として5位にランクインしています。
緊急事態が発生した場合、被害を受けるのは自社だけではありません。しかし、自社のみがBCPを策定してなかったことで事業再開が遅れると、取引先や消費者にも影響を与える恐れがあります。BCPを策定しておくことで企業としての信頼が高まり、企業評価の向上につながります。
BCPはその場しのぎの防災対策でなく、復旧させて元のパフォーマンスに戻すまでのシナリオ作りが重要です。事業を復旧させるまでのフェーズを3つに分けてBCPを策定する方法を紹介します。
まずは実際に発生しうるリスク(非常事態)を具体的に想定します。
「リスクの一例」
上記のようなリスクを想定したうえで、発生しうる被害を全て洗い出します。被害は被災拠点だけでなく、バリューチェーンやプロセスマップなどを含む社内全体のインフラも範囲として想定します。
緊急事態が発生した直後は従業員と拠点の状況を把握し、人的・物的被害を最小限に抑えるための対応をします。非常事態が発生したときの状況確認や連絡の方法などについては細かく設定し、従業員に共有しましょう。
また、災害直後の状況確認のために安否確認サービスを導入する企業も増えています。安否確認サービスでは、災害発生を通知したり、確認連絡を一斉に送信したり、安否確認状況の集計を行ったりと、緊急事態発生直後にすべき一連の確認作業を対応します。
業務進行に不可欠な担当者や、設備・ネットワークがある場合は、その代替え案や移行の方法を想定し準備しておく必要があります。想定できるリスク・被害と併せて、業務の標準化を推進したり、代わりとなる設備を準備したりして、代替え手段に移行する仕組みを整えます。
代替え手段で運営していた業務を徐々に平常時と同じ状況に戻していくために、設備やネットワークを復旧させます。納品書や契約書はクラウドに保存していつでも確認できるようにしておくことで、設備やネットワークの回復・調達がスムーズに行えます。
一方で、BCPの策定に対して課題もあります。
BCPを策定していない理由として最も多かったのが、「策定に必要なスキル・ノウハウがない(41.9%)」「策定する人材を確保できない(29.3%)」でした。
また、3位に「書類作りで終わってしまい、実際に使える計画にすることが難しい(27.4%)」の理由があり、自社で実施することに高いハードルを感じている企業が多い状況があります。
4位の理由として「策定する時間を確保できない(24.0%)」があげられています。BCPの策定まで手が回らず、現状の業務対応が優先されて時間の確保が難しい企業は少なくありません。
BCPの必要性を理解できても策定にふみ出せずにいるケースでも、BPOを活用することで業務の見直しから業務の実行までワンストップで委託することができます。
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執筆者紹介
業務改善ノート編集部
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