BPOの基礎知識
今回は、文書管理で注目される「文書電子化」に着目し、ニューノーマル時代で注目されている背景や文書を電子化するメリット・デメリットについて解説します。
文書管理とは
文書には、「作成」「活用」「保管」「保存」「廃棄」という一定のライフサイクルがあります。文書管理とは、このライフサイクルに沿って文書を適切に管理することを指します。
作成した文書を活用している期間はオフィスのキャビネットなどいつでも取り出して確認できる場所に保管し、活用期間を過ぎた書類は外部倉庫などに移動して保存する必要があります。作成した文書はライフサイクルに応じて、適切に管理する必要があるのです。
従来は紙での文書管理が一般的でしたが、最近では電子化を取り入れた文書管理に注目が集まっています。文書の電子化は、電子文書と異なり、紙の文書をスキャナなど活用して電子データとして保存することを指します。電子文書とは、ソフトウェアを使って作成された文書となります。今回は、「文書の電子化」に着目し、文書管理について解説します。
文書管理の電子化が注目される背景
文書管理の電子化が注目されている背景として在宅勤務の普及が挙げられます。
もともと、政府は時間や場所を有効に活用できるテレワークを柔軟な働き方と位置づけ、働き方改革の一環として推奨してきました。しかし、総務省が発表した「令和元年通信利用動向調査の結果」によると、テレワークを導入もしくは導入予定の企業は約3割にとどまり、普及しているとはいいづらい状況でした。
その状況が、新型コロナウイルスの感染拡大によって一変します。多くの企業が従業員の安心と安全を守るために在宅勤務を取り入れ始め、ニューノーマル時代が到来します。
在宅勤務の従業員が増える中で、押印や文書確認のためだけに出社するなどの非効率な業務も発生し、紙による文書管理を見直す企業が増えたのです。
そこで、文書の電子化が注目されています。インターネット環境が整っていれば、いつでも場所を選ばずに文書を閲覧・確認できるため、在宅勤務に合った文書管理の形といえるでしょう。
文書管理における電子化のメリット
文書管理を電子化することでどんなメリットがあるのでしょうか。ここでは、5つのメリットをご紹介します。
業務効率化
文書管理を電子化するメリットとして、検索性が向上し、業務効率化に貢献することが挙げられます。
紙の文書は、きちんとファイリングされていても必要な書類を探すのに時間がかかってしまうことは珍しくありません。文書が電子化されていれば、キーワードや作成者などで検索してすぐに探すことが可能です。今まで文書を探すのにかけていた労力を最小限にできるため、他の業務に充てられる時間が増え、業務効率の向上につなげることができます。
スムーズな情報共有
文書を電子化することで、関係者内で情報共有がしやすくなるメリットがあります。
同一の文書に一度にさまざまな端末からアクセスができるため、情報共有をスムーズにでき、結果的に組織として質の高いパフォーマンスを発揮しやすくなる可能性があります。
また、契約の締結など、社外のクライアントとのやりとりをスムーズに行える可能性も高くなります。紙の契約を締結する場合、契約書類を複数用意して署名捺印し、クライアントに送付して署名捺印したものを返送してもらうなどの多くの手続きを必要とします。
電子化された契約書であれば、双方同意の上で電子署名とタイムスタンプを活用することでお互いの工数を削減しながらスムーズな取り交わしが可能となります。
管理コストの削減
文書管理を電子化することで、保管のための物理的なスペースが必要なくなります。そのため、保管の設備が必要なくなるため、管理コストを削減・抑制することができます。
外部倉庫で紙文書を保管していた場合には賃料を抑えられたり、社内で保管していた場合にはオフィススペースを有効に活用できたりというメリットがあります。
透明性の担保
文書管理を電子化することで、情報の漏えいを防止することができ、透明性を担保できるメリットがあります。そして、内部統制を強化できることで、企業として信頼性の向上にもつながります。
紙の文書の場合、うっかり置き忘れてしまうなど紛失や盗難に遭うリスクがあります。文書を電子化し、厳格に情報管理することで業務の透明性も保証することができます。また、社員のみ重要な書類にアクセスできる環境を作ることで、セキュリティ体制の強化にもつなげることができます。
リスク管理
文書を電子化することで、災害時のリスクに備えることができます。
自然災害や大火災などの予期しない事態が発生した際、紙の重要書類が破損・紛失し、業務の再開が難しくなる可能性があります。書類が電子化されていれば、電子データとしてバックアップが残っており、業務をスピーディーに再開することができます。
また、紙の場合は変色や劣化のリスクがあります。文書を電子データとして保存することで劣化のリスクも抑えることができます。
文書管理における電子化のデメリット
文書管理の電子化には、メリットだけではなくデメリットもあります。電子化を検討する際は、デメリットも把握することが大切です。ここでは、3つのデメリットについて解説します。
二重管理の必要性
文書の種類によっては、保存期間が法律で定められており、二重管理が必要になるデメリットがあります。「法定保存文書」と呼ばれる文書は、保存期間が定められています。
この場合、紙と電子データの両方で文書管理をする必要があり、二重の手間が発生する恐れがあります。文書管理におけるルールを定め、現場に浸透するように取り組むことがポイントとなります。
一方で、2020年10月には電子帳簿保存法が見直され、国税関係帳簿書類の電子データによる保存について要件が緩和されるなど、電子データの活用を推進する動きは高まっています。
スキャニングの手間
文書を電子化するためには、1枚1枚スキャニングする手間が発生します。
ファイルにとじてあるものは外し、ホチキスでとじてあるものは取り除き、請求書・契約書・申込書など種類ごとに仕分けをしてからスキャナにかける必要があります。電子データに取り込む上で、時間と手間がかかるデメリットがあります。
管理ルール徹底の必要性
文書管理を電子化するにあたっては、書類の名前の決め方やフォルダに格納する際のルールを厳密に定めることが大切です。
管理ルールが徹底されないと管理が煩雑になり、検索してもうまく見つけ出せない事態が発生してしまいます。これでは、電子化のメリットである優れた検索性が発揮されず、共有性も低下してしまいます。
必要な時にスムーズに活用できるように、文書管理のルールを徹底することが重要です。
文書管理をサポートするTMJのサービス
文書管理で業務効率化を
適切に文書を管理することで、業務を効率化し、透明性を確保することで企業の信頼の向上にもつなげることができます。そして、文書を電子化することでより利便性を高められる可能性もあります。
株式会社TMJでは、文書の電子化をはじめ、企業の業務効率化に貢献するサービスを幅広く提供しています。業務効率化をご検討の際は、ぜひご相談ください!お問い合わせは、<こちら>。
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