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現場カイゼン


初回投稿日 : 2023/03/01

カスタマーセンターのWell-beingを追求して誰もが働きやすい環境に

 

株式会社プロシードで2021年から実施している「Well-being CUSTOMER CENTER AWARD」。日本で最も幸福度の高いWell-beingなカスタマーセンターを決めるアワードです。このアワードに2年連続の入賞を果たしている株式会社TMJ。カスタマーサービス業界に従事する方々の人生における幸福度向上のために日々奮闘する株式会社プロシード代表取締役社長・根本直樹氏と、幅広い分野のカスタマーセンターを運営する株式会社TMJ代表取締役社長・丸山英毅氏をお招きし、Well-beingの実現に向けての対談をしていただきました。

※Well-beingは、WHOが「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的、精神的、社会的、すべてが満たされた状態にあること。(日本WHO協会訳)」と定義したものです。元々は医療や福祉の世界で重要視されてきた考え方でしたが、昨今ビジネスの世界でも生産性・効率性向上の観点から注目されています。

「Well-being」で会社と従業員の関係をWin-Winに

根本
私がWell-beingに注目したのは3年ほど前。海外でのホットワードはないかなとネットサーフィンをしていたときに、海外のコールセンターで有名なザッポス社の取り組みの中に「Well-being」という言葉が出てきました。そこで初めて「Well-being」を知ったのでそこからいろいろと調べて行ったんです。従来のES(従業員満足度)とは異なり、打開策がありそうだと感じました。
従来のESは会社の福利厚生を従業員が際限なく求めるという状態。従業員側からするとやってもらって当たり前という感覚でした。会社側からしてみるとどこまでやるべきなのか悩んでいる企業が多数。しかし、従業員が会社や顧客のために何かしたいと思えないと、いくら福利厚生を増やしても意味がありません。Well-beingは会社と従業員の双方向の関係性を作るのに最適な考え方だと思います。
この考え方を日本で広めようと思い、日本企業にリサーチを進めると「当社はESを高めるための福利厚生があるので大丈夫」という回答が多くありました。まずはWell-beingを広めるために、Well-beingのための活動やサービスを承認し、頑張っている人を前に出す場としてアワードを作ろうという話が社内で上がり、創設に至ります。
アワードの目指すところは働いている人たちが生き生きとして、カスタマーセンターで働くことが幸せにつながっているという状態を作ることですね。カスタマーサービスの仕事は心も身体も健康で楽しく働けるという会社を増やしていきたいと思っています。

会社の変革によっていち早く取り入れていた「Well-being」

丸山:
当社のマネジメントスタイルはもともと上意下達の統制型でしたが、それによる課題がいくつか発生していたため、2016年から2017年にかけて会社の風土を「共有共創型」に変えようという動きがありました。相互信頼を創りながら、個々の違いを尊重しながら働けるようにすることを理想とし、経営理念もその時に変更しています。
我々は BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)ビジネスを展開し、正社員だけでなくアルバイトや派遣社員の方もカスタマーセンターの仕事に多く従事します。どんな働き方であっても生涯職業として、この仕事を通じてスキルアップをし、仕事の幅を広げていけたらいいなと考えました。そこで、「生涯職業化」を経営方針のひとつに採用しましたが、その活動に対する価値観が「Well-being」につながってくると思います。ES調査を実施して、従業員と会社の考え方のギャップをどのように埋めていくのかを検討し、各従業員の目標設定に組み込みました。その方針を打ち出した当初は「Well-being」という言葉は知りませんでしたが、既に実践していた形になりますね。
カスタマーセンター業界において、日本は後進国で北米が最先端という状況です。2005年、北米にある調査会社ギャラップ社のカスタマーセンターを視察に行った時のこと。「幸福を決定する5つの要素」というものを定義付けていました。仕事のやりがいがある、成長実感があるなど。これってまさに「Well-being」の定義ですよね。
また、ギャラップ社は「ストレングスファインダー※」でも有名ですね。各個人が持っているポジティブな面にフォーカスして、それをバケツに例えています。自分のバケツをどう埋めていくと自分が幸せになれるのか。ネガティブな面で埋めてしまうとバケツは下がってしまい、幸福度も下がってしまいます。そして、他の人のバケツを埋めていくとさらに幸福度が上がるという価値観を初めて知って感銘を受けました。
我々の仕事は誰かのために、世の中の負を解消するビジネスです。お客様のお困りごとに対して解決策を提案して満足させてあげるためには従業員自身も将来どうなっていきたいのかという人生の目的を持って生活しているのがベスト。そのための環境整備として会社は何ができるのかということを日々考えています。

※アメリカのギャラップ社が開発した診断ツール。複数の質問に答えることによって、自分の才能や強みを発見することができる。「無意識に繰り返し現れる思考、感情、行動のパターン」を固有の資質と捉え、その資質を意識的に使えるようになるための手助けとなることを目的としています。

根本:
他者のバケツを満たしてあげるというお話はまさにその通りですね。弊社の「Well-being診断」でも他の人のために何かできていますかという設問があります。自分から周りへの関係性を入れているというのが特徴です。
カスタマーセンターは人が多いので、自分がいなくても会社は回っていくという孤独感に苛まれることがあります。会社に自分が必要とされていると感じるかどうかは、周りを助けたり、声をかけたりといったことで蓄積されていくもの。働きやすさややりがいを図る上で重要なポイントです。

丸山:
北米のカスタマーセンターでは失声症の方も働いていました。声が出せなくても音声合成の機器を使いながらお客様とコミュニケーションを取っていたのを見て、本当にどんな人でも活躍できる仕事なのだと確信した記憶があります。
視察当時、日本のカスタマーセンターだと、言い方が悪いですがオペレーターは使い捨てのような感じでしたね。オペレーションマニュアルでやり方を共有することで仕事を完結させていました。しかし、業務をしていく上でオペレーターそれぞれに知識や経験が蓄積されていくのでそれを全体で共有することでセンター運営は良くなっていくはずです。

両社とも代表が率先してWell-beingを実践

根本
「Well-being」が大切だということを私たち自身が体感する必要があると考え、弊社では外部の講師を招いて、フィジカル面、睡眠、メンタル面などさまざまな角度から「Well-being」の探求を行いました。断捨離、デジタルデトックス、仲間同士で森林浴をしたりもして、心身ともに健康になっていくことを確信しました。これらは海外エグゼクティブ向けの、タフな仕事においてパフォーマンスを上げていくためのプログラムです。
興味深かったのが、「歩く」ことです。1日2000歩未満だと寝たきりリスクが上がり、8000歩以上だと幸福度が上がります。カスタマーセンターは座っていることが多い仕事なので、歩くための工夫が必要だなと感じました。その他にも、社員食堂があるセンターであれば、仕事のパフォーマンスが上がるようなランチメニューを考案するのも良いですね。自分で体験したからこそ気付けたことがたくさんありました。
私自身は睡眠を重視しています。概ね22時には就寝して早朝3〜4時には起床するのが毎日の睡眠時間です。1日のリズムを崩さないように心がけていますね。

丸山
私も似ていますね。土日など休日も含めて同じ時間に就寝・起床をしています。休日の方が朝早く起きているくらいです。土日は4時ごろに起きたらジムに行って身体を動かします。最近は寝ていても途中で目覚めてしまうので、ここを改善したいなと思っているところです。

アワードに参加したセンターから良い循環が創出

丸山
カスタマーセンターで働いている方々の地位向上という「Well-being CUSTOMER CENTER AWARD」の趣旨に共感して参加させていただきました。また、自社内のES調査の結果から、我々なりの改善活動は実施していますが、世の中における自社の現在地を知る貴重な機会だと思います。他社の優れた取り組みの見識を得て、刺激を受けるのもプラスになるはずです。
2021年に行われた第1回目のアワードに2つのセンターをエントリーしました。

根本
株式会社TMJ様は第1回目に最優秀賞、第2回目も優秀賞を受賞されていますね。まだまだ始まったばかりのアワードですが、徐々に認知は上がってきています。昨今、社会貢献を実施している証としてESGやSDGsなどの認証マークを掲示することが多くなりましたが、その中に当社の「Well-being CUSTOMER CENTER AWARD」を受賞しましたと掲載いただいています。従業員を大切にしていますというメッセージの一つとして役立てていただけていると嬉しいです。

画像をクリックすると当時の授賞式の様子のサイトに飛びます。

2021年度授賞式の様子
2022年度授賞式の様子

丸山
社員側から参加したいとの意思表明があり、私は後からアワードの存在を知りました。社員が主体的に動く社風にしていきたいという考えがあるので、社員自身で参加したいと言って、入賞できたのは感慨深いです。
アワードに参加してよかったことは大きく3つあります。1つはアワードに参加したセンターの自信向上につながっています。日頃の努力が評価されたという喜びを感じたのでしょう。2つ目は、第2回目のアワード受賞の際に、当社のクライアント企業が喜んでくれたことです。アウトソース型のカスタマーセンターは当社のようなアウトソーサーとクライアント企業が一緒に創り上げていくもの。共に創り上げた活動の成果がアワードで評価されるということを同じように喜んでくれていました。クライアント企業には表彰式にも来ていただいています。
3つ目は、「Well-being」についてのアイデアが社員から自発的に出るようになったことです。弊社では、QCサークル活動(小集団改善活動)を行なっています。これは業務上の理想と現実とのギャップを掴んで、ギャップを埋めるために何をすべきかを現場のみんなで知恵を出しながら改善していくというもの。それを「Well-being」についても考えて、改善して行こうという動きが出てきました。さらに、弊社の社内報にアワード入賞のことを掲載したところ、他のセンターから来年はうちも参加したいというような声がたくさん上がっているのも非常に良いことだと思います。

根本
2021年の第1回目のアワードで受賞された九州にある貴社センターからの受賞コメントがすごく印象的でした。「まさか受賞できるとは思っていませんでした。その理由は勤怠を厳しく指導してきたので従業員から不平不満が出るのではないかと思っていたからです。今回の受賞で自分たちがやってきたことは間違っていなかったんだという証になりました」という内容です。矢面に立つマネージャーは苦労が多いと思いますが、その中で公平性やルールを遵守することを徹底して、それが形になったのはとても良かったです。

今後の「Well-being CUSTOMER CENTER AWARD」に求められるもの

丸山
第3回目のアワードは当社から参加するセンターがまた増えることが予想されます。そうなると、クライアント企業がいかにセンターの現場を理解いただけるかが鍵となります。クライアント企業への要望があれば随時していった方がいいという声も上がってきています。昨今では、クライアント企業がお客様との直接的接点であるカスタマーセンターを重視することでお客様を大切にする姿勢を見せる傾向にあります。今後、クライアント企業とカスタマーセンターのつながりはより強くなっていくでしょう。
以前から業務上の目標を設定してそれが達成できたら社内やクライアント企業から表彰するという機会はありました。モチベーションアップには効果的なのですが、自社でもクライアント企業でもない第3の軸でセンター運営の幸福度を診断していただけるというのは貴重な機会なので活用させていただきたいなと思っています。
今後、第3回、第4回とアワードが続いていくと参加センターの成果の蓄積が増えてくると思います。様々なセンターのもともとの取り組みとアワード後の取り組みの変化がわかるととても参考になりますね。また、アワードを通じての会社間やセンター間の横のつながりができるとさらにカスタマーセンターの地位向上が促進されるのではないでしょうか。

根本
何か他社の事例で参考にされたことはありますか?

丸山
社内報にセンター現場の声やクライアント企業様のコメントを掲載するようにしました。読んでいる人が多く、自画自賛ではなく、他者から見て多面的に評価されているというのが良い刺激になっていると思います。

根本
幸福度は仕事の内容によって変わるわけではありません。会社がしっかりとケアができているかで差が出ると思います。また、過去2回のアワードで分かったのが、幸福度の高いセンターでは勤続年数が長くなるほど、幸福度が高い結果でした。また役職が上がるにつれても幸福度は高かったです。
マネージャーが疲弊しているのを見たら、誰も頑張ってマネージャーになりたいと思わないですよね。上司が生き生き働く姿を見るとモチベーションも上がるし、心理的安全性にもつながります。

丸山
世間ではDX化と叫ばれていますが、我々の業界は「人本経営」が基本です。DX化が進む中、人に求められるスキルや知識もより難易度が高いものへ変化してきています。人にフォーカスをして、能力を最大化するためにはスキル、経験をあげる必要があります。また、一緒に働く仲間と全体を良くしていくというチームの連携も人だからこそできることですね。自分も電話をかけてくるお客様も、一緒に働く仲間も人。働く環境はもちろんですが、人のつながりをより良くしていくのが「Well-being」だと思います。

執筆者紹介

ビジネスのデザイン力で、事業の一翼を担うBPOパートナーのTMJ。将来にわたる経営環境に最適なビジネスプロセスを設計し、事業を代替することで、クライアント企業の継続的な事業成長を総合的にサポートしています。

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