BPOの基礎知識
前回の「業務効率化につなげる7つのアイデアとポイント」では、業務効率化を実現するための具体的なアイデアをご紹介しました。今回の記事では、非効率的な業務を洗い出すことで業務効率化につなげる3つの手法について解説します。
非効率な業務に着目する手法
ここでは、非効率的な業務に着目しながら業務効率化につなげる3つの手法をご紹介します。
MPU
MPUとは、
- Method Loss(方法におけるロス)
- Performance Loss(能力におけるロス)
- Utilization Loss(活用におけるロス)
の3つのロス(ムダ)をもとに業務効率化を考える手法です。MPUは、日本能率協会が生産性を向上させるメソッドとして提唱しており、ビジネスの業務改善に役立てることができます。
「Method Loss(方法におけるロス)」では業務手順における非効率を生んでいる要素を見つけ、
「Performance Loss(能力におけるロス)」においては業務経験や業務のやり方の違いによって生まれる非効率の要素を見つけ、
「Utilization Loss(活用におけるロス)」 で従業員の能力を最大限に活かすことができているかを見ていきます。
業務の非効率性に着目し、ムダな業務を見ていくことで改善していく方法がMPUです。
ICOM
ICOMとは、
- Input(入力情報)
- Control(判断基準)
- Output(成果)
- Mechanism(環境・体制)
の4つの単語の頭文字から名づけられた業務効率化の手法です。ICOMは、機能モデリング手法の「IDEFØ」で企業やシステムにおけるプロセスや機能フローを整理するために活用されており、ビジネスシーンにおいても業務改善に取り入れることができます。
ICOMでは、MPUで見つけた非効率な業務が「なぜ非効率になっているか」原因部分を発見するのに役立てることができます。
「Input(入力情報)」では、業務を進めるにあたって必要な情報を収集するための業務フローや手順に非効率な面がないか、
「Control(判断基準)」では、業務を実施する上で判断基準にあいまいな面がないか、
「Output(成果)」では、業務の成果を測る上で管理者層や経営層が判断を確認できる資料や情報を十分に提供できているか、
「Mechanism(環境・体制)」では、業務を効率的に進めるための環境が整っているかを見ていきます。
ICOMは、業務に非効率を生んでいる原因を見ていくことで業務効率化を見直す手法といえます。
ECRS
ICOMを利用して原因を突き止め、ECRSを参考にして施策を練り、取り組むことで業務効率の改善につなげることができます。
ECRSとは、
- Eliminate(廃止する)
- Combine(統合する)
- Rearrange(再整理する)
- Simplify(簡素化する)
の4つの単語から成り立っています。ECRSは、製造現場での生産性向上を目的としたフレームワークの「ECRS(イクルス)の原則」をベースとしており、ビジネスの業務改善にもつなげることができます。
非効率的な業務がある場合、「Eliminate(廃止する)」ことができないか、
他の業務と「Combine(統合)」することができないか、
業務を「Rearrange(再整理)」することができないか、
業務を「Simplify(簡素化する)」ことができないか見ていきます。
「Eliminate(廃止する)」・「Combine(統合)」
「Eliminate(廃止する)」と「Combine(統合)」では、
- なくせる業務
- 重複する業務
- 似た業務
がないか業務の棚卸しを行うことで、効率性を高めることができます。
「Rearrange(再整理)」
「Rearrange(再整理)」では、業務の標準化や平準化を行うことで、業務の効率化を目指します。
特定の従業員に業務が偏っていないか、属人的な業務がないかなど業務が最適に実施されているか見直しを行います。特定の従業員しかできない属人的な業務をなくすことで、業務の偏りを改善できる可能性があります。たとえば、マニュアルを作成して、業務手順を共有することで、業務品質を均一に保ちながら属人化を解消することができます。
従業員の能力を考慮した最適な人員配置ができているか見直すことで、非効率の解消を目指します。従業員の業務経験やスキルをふまえることで、従業員のモチベーションアップにつながるメリットもあります。
「Simplify(簡素化する)」
「Simplify(簡素化する)」では、業務の自動化やシステムの導入やアウトソーシングの活用などを通して、従業員の業務負担を軽減することで効率性を高めることができます。
業務の手順ややり方が決まっている定型業務は、ロボットやAIを活用して自動化することで、人為的なミスをなくしながら業務時間を大幅に削減することができます。そして、従業員が対応する業務を簡素化することができるのです。
システムの導入では、データを一元管理するためにクラウド型システムを導入したり、顧客体験(CX)を向上させるためにチャットボットを導入したりと目的に応じて様々な種類があります。
アウトソーシングの活用では、業務を外部へ委託することで従業員がコア業務に集中できる環境ができ、対応が必要な業務量を減らすことができます。また、特定の業務を効率的に実施するアウトソーシングを活用することで、業務自体の効率性も高められる可能性もあります。
アウトソーシングの中でも、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を活用することで業務実施だけでなく、業務プロセスの改善もしながら業務に取り組むため業務の効率性をさらに高めることができます。
非効率を見つめることで業務効率化を実現
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