専門家コラム
TMJは、コーポレート機能協会のリサーチコミッティ(研究委員会)のひとつである「ニューノーマル時代の働き方研究委員会」に参画し、コーポレート機能協会に参加している企業の従業員509名を対象に、シェアードサービスで働く従業員の幸福度に焦点を合わせた共同研究を実施しました。
今回の記事から全3回にわたって、調査結果をまとめた『【FY20幸福度調査&考察】現場改善による幸福度向上』についてご紹介します。
コーポレート機能協会 理事長の上永野氏へのインタビュー記事はこちら
>大変革の時代だからこそ重要な「コーポレート機能」
~企業が永続する上で必要なこととは~
幸福度とは
今回の調査のキーワードともなる従業員の「幸福度」は、幸福を科学的なアプローチで解明・研究を進めている前野隆司教授(慶應義塾大学大学院)が提唱する幸せの4因子から成り立っています。
幸せの4因子
- やってみよう因子
- ありがとう因子
- なんとかなる因子
- ありのままに因子
この幸せの4因子とは具体的にどんなものなのでしょうか。
やってみよう因子
やってみよう因子は、自己実現と成長を後押しします。自己肯定感を高めて仕事に取り組めることで高いパフォーマンスを発揮でき、幸福度が高まります。
ありがとう因子
ありがとう因子は、つながりと感謝から生まれます。利他的に同僚をサポートし、自分がすべき以上の行動をすることで感謝され、周囲から信頼されることで強いつながりが生まれ、幸福度が高まります。
なんとかなる因子
なんとかなる因子は、前向き楽観性がキーワードとなります。うまくいくことを信じ、自ら積極的に提案を行い、自身の能力も高められることで幸福度が高まります。
ありのままに因子
ありのままに因子は、信念をもって自分らしさを貫くことです。周囲と比較せず、自分自身を受け入れられることで幸福度が高まります。
従業員幸福度と従業員満足度の違い
従業員幸福度と似た言葉に従業員満足度があります。
従業員満足度は、「ES (Employee Satisfaction)」とも略され、給与・労働時間などの待遇や職場の設備・給与など労働環境の充実度を数値化しています。
一方の従業員幸福度は、「EH (Employee Happiness)」と略され、従業員が個人として仕事に対しての満足度・働きがい・喜びなど働く個人としての幸福度に着目しています。
従業員幸福度と企業の業績は比例する傾向にある一方で、従業員の幸福度と満足度は必ずしも比例しない現状があります。
調査概要
【FY20幸福度調査&考察】現場改善による幸福度向上の概要は以下となります。
- 期間:2021年1月中旬~2月下旬
- 対象:コーポレート機能協会に参加している31社の従業員509名
- テーマ:シェアードサービスセンターで従事する従業員の幸福度
具体的な回答者の属性が以下となります。
業務の種類としては、人事、財務経理、総務、経営企画、営業支援、IT、その他に分類しました。また、従業員の定型業務比率(業務に一定のパターンがあり、流れや手順が決まっている業務の比率)も属性データとして集計しました。
そして、幸せの4因子を考慮した以下の設問を対象者にご回答いただきました。回答では、「1:全くそう思わない」から「7:とてもそう思う」の7段階に分けた7件法で自己採点いただきました。
実施結果
対象者には幸せの4因子に関連した設問へのご回答にご協力いただき、以下の結果が集計されました。
全体統計
全体統計では、ありがとう因子が最も高く、なんとかなる因子が最も低い結果となりました。
そして、幸福度の全体平均は、18.47とFY17(2017年度)時よりも幸福度がさらに下降傾向である実態が見えました。
※一般:オンラインカウンセリングcotreeでの幸せ診断診断(回答者:15,028名)の平均値
※FY17:シェアードサービス研究交流会議(回答者:51社620名)でFY17に調査実施時の平均値
性別別
性別別でみると、男性と比べて女性の平均値が全て下回る結果となりました。過去の幸福度調査では、一般的には男性よりも女性の方が幸福度が高いという傾向にありました。
年代別
年代別に見ると、20代・40代の幸福度平均が最も低く、60代が最も高い結果となりました。
定型業務比率別
そして、特に興味深かったのが定型業務比率別の幸福度比較です。
定型業務70%・非定型業務30%の従業員の幸福度が最も低いという結果が出たのです。
FY20幸福度調査のまとめ
今回の調査では、以下の結果が出ました。
- 全体統計:ありがとう因子が最も高く、なんとかなる因子が最も低い
- 幸福度の全体平均:FY17(2017年度)時よりもFY20(2020年度)では幸福度は下降傾向
- 性別別:男性と比べて女性の平均値が全て下回る
- 年代別:20代・40代の幸福度平均が最も低く、60代が最も高い
- 定型業務比率別:定型業務70%・非定型業務30%の従業員の幸福度が最も低い
次回の中編では、「定型業務70%・非定型業務30%の従業員の幸福度が最も低い」理由をテーマに解説します。詳細は、<こちら>。
出典:『【FY20幸福度調査&考察】現場改善による幸福度向上』(一般社団法人 コーポレート機能協会)
>>>資料のダウンロードは<こちら>。
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