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BPOの基礎知識


初回投稿日 : 2021/04/23
最終更新日 : 2022/04/28

SaaSビジネスにおけるオンボーディングとは?意味や施策内容・事例を紹介

オンボーディング

オンボーディングは、SaaSビジネスにおいて、顧客の継続利用を促す有効な取り組みです。今回は、オンボーディングとは何か、取り組むメリットや成功に導くポイントをはじめ、施策内容を検討する際に必要なタッチモデル(※)について解説します。
※タッチモデルとは、顧客を3層に分類し、それぞれの特徴によって最適なアプローチを行う手法のこと。

オンボーディングとは

オンボーディングとは、船や飛行機などに乗り込むことを意味する「on-board(オンボード)」から派生した言葉です。

ビジネスにおけるオンボーディングは、人材領域とSaaSビジネスでそれぞれ異なる目的をもっています。「人材育成」を目的とする人材領域と「お客様によるサービスの利用継続」を目的とするSaaSビジネスの違いについて解説します。

人材領域におけるオンボーディング

人材領域におけるオンボーディングは、企業が新たに採用した人材を即戦力として活躍できるように育成・サポートする一連の取り組みを指します。

新人研修や中途向け研修をはじめ、組織のルールや文化に馴染めるようにサポートする取り組みも含まれます。

SaaSビジネスにおけるオンボーディング

SaaS(Software as a service)はサブスクリプション型のクラウドサービスで、継続利用が基盤となるビジネスモデルです。月額利用料など利用期間に応じて利用料金を支払う仕組みとなっています。

SaaSビジネスにおけるオンボーディングは、お客様に商品やサービスの操作方法や仕様を案内し、継続的に利用していただくための導入支援の取り組みを指します。オンボーディングは、カスタマーサクセスの一部としても着目する企業が増えています。

カスタマーサクセスとは?

SaaSビジネスにおけるオンボーディングのメリット

SaaSビジネスでなぜオンボーディングが重要視されるのか、SaaSビジネスにおけるオンボーディングの3つのメリットについて解説します。

解約を回避し、安定した収益を確保

解約を回避し、安定した収益を確保

一つ目のオンボーディングのメリットとして、解約を回避し安定した収益を確保できることがあります。

SaaSビジネスでは、お客様数が増えて定着することで安定した収益を継続的に見込むことができます。一方で、機能や使い方を理解できずにお客様が使いこなせないケースやサポートがないことで企業やサービスに対してお客様が不信感を抱くことがあります。これらの場合、解約(チャーン)されるリスクが高く、初期段階でいかに不明点を解消し、お客様のストレスを取り除くかがポイントとなります。

そこで、オンボーディングを継続して利用したいと思う体験を提供し、顧客満足度を高めることがSaaSビジネスでは重要なのです。

アップセルやクロスセルに寄与し、売上が拡大

アップセルやクロスセルに寄与し、売上が拡大

二つ目のオンボーディングのメリットとして、アップセルやクロスセルによって顧客単価を上げられ、売上の拡大に貢献することが挙げられます。

アップセルとは、お客様が前回の購入時よりも単価の高い商品やサービスを購入することを指します。
クロスセルとは、利用している商品やサービスに関連性の高い商品をお客様が購入することを指します。

SaaSにおいて、多くの企業は機能を増やした複数のプランや関連サービスを用意しています。アップセルやクロスセルの実現において、現在利用している商品やサービスにお客様が満足しているかがポイントとなります。

オンボーディングによって現在利用している商品やサービスの魅力を伝えるだけでなく、さらにお客様に合ったサービスを提案し、ニーズとマッチすることでアップセルやクロスセルにつながる可能性が高まります。

顧客ロイヤリティが向上し、LTV最大化に貢献

顧客ロイヤリティが向上し、LTV最大化に貢献

三つ目のオンボーディングのメリットとして、顧客ロイヤリティの向上に貢献し、LTV(顧客生涯価値)(※)の最大化につながることがあります。

LTVとは、「Life Time Value」の略称で一人のお客様が生涯において自社の商品やサービスの利用を通して企業にもたらす価値を指します。SaaSビジネスでは、サブスクリプション型での提供のため、継続して長く利用していただくことがLTVの最大化につながります。

オンボーディングを通してお客様の顧客満足度を高め信頼関係を築くことで、顧客ロイヤリティの向上につながり、LTVの最大化にも貢献するのです。ニーズが多様化して新規顧客の獲得が難しい市場において、既存顧客の存在はますます重要になっています。

ロイヤルカスタマーとは?定義やマーケティング手法を解説

オンボーティングにも活用される3つのタッチモデル

ニック・メータ氏(※)をはじめ、カスタマーサクセスの最前線で活躍する著者らによって執筆された『カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則』でカスタマーサクセスにおける3つのタッチモデルが提唱され、オンボーディングにおけるアプローチを検討する上でも、広く活用されています。

ここでは、3つのタッチモデルについて解説します。

※ニック・メータ氏:カスタマーサクセスソフトウェアを提供するゲインサイト(Gainsight)のCEO 。

カスタマーサクセスにおける3つのタッチモデル

ハイタッチ層

ハイタッチ層は、LTVが最も高く、企業の安定した収益に大きな影響を与えるお客様層です。

お客様のニーズに合わせて個別に商品やサービスをカスタマイズし、手厚いフォローを行うアプローチが中心となります。

  • 電話や訪問による定期的なヒアリング
  • 個別の勉強会の開催

などがアプローチの一例となります。

お客様の継続的な利用が見込めたり、商品やサービスの導入規模が大きかったりするハイタッチ層において、親身なサポート体制が重要です。

ロータッチ層

ロータッチ層は、ハイタッチ層と後ほど解説するテックタッチ層の中間層になります。ハイタッチ層と比べてお客様数が多いことで、個別のニーズに応じたカスタマイズが難しい反面、定期的なフォローも重要な層となります。

  • ウェビナーの定期的な開催
  • オリジナル資料の配布

などがアプローチの一例となります。

お客様数が多いことで解約されるとインパクトが大きいため、いかに定期的に効率的にお客様と接点を作ることができるかが重要となります。

テックタッチ層

テックタッチ層とは、LTVが最も低く、お客様数が最も多い層となります。お客様数が多いため、テックタッチ(テクノロジーによる接触)のアプローチが中心です。

  • メルマガの定期配信
  • FAQサイトの設置
  • チャットボットによる自動回答

などがアプローチの一例となります。

テックタッチ層へのアプローチでは、コストを最小限に抑えながら効率的にアプローチをすることがポイントです。

オンボーディングを成功に導くポイント

オンボーディングを成功に導くポイント

オンボーディングを成功に導く3つのポイントについて解説します。

お客様の課題やニーズに寄り添う柔軟性と応用力

一つ目のポイントとしてオンボーディングの担当者は、商品やサービスの基礎知識を身につけるだけでなく、お客様の課題やニーズに寄り添った柔軟性や応用力を発揮したアプローチを行うことが挙げられます。

オンボーディングでは、わかりやすく商品やサービスの機能や使い方を説明したり、お客様の状況に応じた解決策を提示したりすることが求められます。お客様の不明点を解消し、カスタマーサクセスとしていかに成功体験を提供できるかが以降の継続的な利用につながるのです。

お客様の課題やニーズを理解する上で、コンタクトセンターに寄せられるお問い合わせやお客様の声をはじめとするVOC(お客様の声)の収集と分析は重要です。

お客様のゴールの把握

お客様のゴールを把握できないままだと、ニーズに合っていないサポートの提供となり、解約のリスクも高まります。オンボーディングはカスタマーサクセスの一環であり、いかにお客様を成功へ導くことができるかが重要となります。

カスタマーサクセスで取り入れたいKPI

継続的にフォローできる体制の構築

オンボーディングを行う上で、お客様への継続的なアプローチは必要不可欠です。たとえば、ロータッチ層へのアプローチを強化したい場合にはインサイドセールス部門の立ち上げやコンタクトセンターの強化などの体制構築があります。

インサイドセールスで押さえておきたい基礎知識を解説

また、テックタッチ層へのアプローチの強化に向けて、FAQサイトの拡充やチャットボットの設置などがあります。3つのタッチモデルに沿って、自社のお客様に合わせたフォロー体制の構築が重要です。

テックタッチ層へのオンボーディング成功事例

ここでは、ユーザーのペルソナに合わせたFAQの改善でサービスの利用を促進した事例を紹介します。取り組んだのは、メーカー系企業が運営する月間検索回数100万回越えのFAQサイトの改善です。

当初のFAQサイト上での月間キーワード検索回数8万件の内2万件は、検索結果が用意されていなかったり、検索キーワードに誤字脱字があったり、その他さまざまな原因から答えにたどり着けていない状態でした。

そこで実施したのが、ユーザーのペルソナを意識したFAQの導線作成です。製品を初めて使う初心者は、製品についての知識が少なくキーワード検索をすることすら難しい場合があります。そういった顧客に向けては「初期設定でつまずきそうなポイント」をまとめた問診形式のFAQを設置し、クリックのみで知りたいことにたどり着ける導線にしました。また、製品を使い込んでいるベテランユーザーに対しては、高度な使い方をする方向けに初心者向けの情報を省いたFAQを設置。その結果、キーワード検索で答えが見つからないユーザーを、2万人から7,500人まで減少させることに成功しました。

オンボーディングにも有効なFAQを活用した改善事例

オンボーディングを支援するTMJ

SaaSビジネスにおいてオンボーディングは、お客様の継続的な利用を支援する重要な役割を担っています。

株式会社TMJではインサイドセールス支援をはじめ、チャットボットFAQインテグレーションサービスなど企業の課題に合わせたオンボーディングをサポートする幅広いサービスを提供しています。オンボーディング強化をご検討の際は、ぜひご相談ください!お問い合わせは、<こちら>。

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執筆者紹介

ビジネスのデザイン力で、事業の一翼を担うBPOパートナーのTMJ。将来にわたる経営環境に最適なビジネスプロセスを設計し、事業を代替することで、クライアント企業の継続的な事業成長を総合的にサポートしています。

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